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新潟県
~白根大凧合戦の魅力~
白根の大凧合戦の大凧チームは1チーム約100人近く関わっている。まさに大企業と同じ規模感で組織も役員等の人事システムも大企業並みである。
チームの要となる会長職は30代から40代の人がなっている。その仲間たちが周りの役職を担っている。役職は任期が決まっており、同族会社のように一族が世襲的になっているわけではもちろんない。
もともと大凧のチームは各町内ごとに組織づくられており、現在では町内だけでは担い手が足りず町外から海外からでも参加可能である。
コロナ渦で近年は開催されなかったが、子ども凧合戦というものもある。小学生中心に子供会がやっている。そこで子どもたちが初めて凧に触れることができる。
白根第一中学校と白根高校とどちらも凧を部活にした凧部というものが存在する。実質白根の高校や企業に行かないと凧に関わる時間が取れずに、経験が積めず、知識もなく中心となる人材に育っていかないのが正直なところだ。
凧組にもよるが、多いときで30枚作って上げていたときもある。凧作りも奥が深く一年やそこらで分かるほど簡単ではない。
毎年5月頃から土手の草刈りをはじめ、桟敷作り等が始まるが、時代の移り変わりで土手の周辺の家々も住む人が変わって、大凧合戦があることを知らずに家を建てた人もいて、その土手周辺の民家に凧が落ちたりして大惨事にもなる。
また凧合戦は文字通り戦【いくさ】である。真剣勝負で声を荒げ、走る。これを毎年やっているのだ。
本番は5日間あり、平日も含まっていることから会社を休んで参加する人もいる。昔は自営業が多かったが、現在ではサラリーマンが多くなり関わり方も苦労しているようだ。
~お酒編~
各凧組凧作りや本番の5日間終わったあとには集会場であがり酒という親睦会を行っている。各チームそれぞれであるが、凧に関わる人はほとんどお酒好きが集まっている。ビール、焼酎、酎ハイ、日本酒等々様々なバリエーションがある。お酒好きには良いが嫌いな人は苦痛の場でしかない。飲むのが仕事という人もいる。
何か迷惑な間違いをしたらとにかくお酒を持っていけば許される。そんな風習さえもある。
お酒関連でもう一つ。大凧同士が絡めて引き合いをして負けたら相手にお酒を持っていって綱を返してもらうという習わしがある。
白根大凧合戦、それはお酒を飲むことが仕事である。基本祭りにはお酒がつきものである。
新潟は日本酒の宝庫である。新潟酒の陣が開かれるなど、お酒には手を抜いてはいない。
100を超える酒蔵を持ち、それぞれこだわりのお酒を作っている。新潟といえばお米、お酒と県外の人から言われるくらい有名である。
そのお酒を凧合戦のあがり酒で消費している。もう儀式的である。
大御所それぞれに好きなビールの種類があってそれを覚えて発注する。ビールが空になったのを確認して声をかけ、ビール缶を回す。この作法が若手には求められるのである。
あるひとは凧は飲みニケーションという。それは当たっているのかもしれない。
文化を支える人々、酒好きが集まる町内会の飲み会。酒を飲むことによって心を開いているという思い込みが田舎にはある。
~支える人々~
白根大凧合戦、それは新潟市南区の伝統行事。これを支える人は新潟県内に無数いる。それだけ有名なお祭りである。
最近では花火もあがる。このイベントテレビでは毎年やっており一度は目にした人もいるのではないだろうか?しかし全国的にみてはそれほど有名とは感じない。しかし毎年、当たり前のようにやっている。
凧絵1枚にスポンサーがつき広告のようにあげている。凧組によって様々であるが1枚5万円くらいである。またお祭りとなると祝儀が集まる。そのような感じで運営している。
しかし実際やっている人は無償でやっており、食事やお酒は出るものの実質ボランティアである。
この凧というのは体力仕事そのものである。体力がない人には正直きつい。このまつりを楽しいと思ってやっている人はほんのひと握りである。みんなギリギリのところで遊びたいのに義務としてやっている。昔から携わっている人から見れば、当たり前のように時期になったらやってくる、キツイ仕事である。
毎年凧合戦をやるメリット
①コミュニティの絆が深まっていざというときに役に立つ
②お酒が消費されることから経済が活性化される。
③楽しみな人は楽しみ
④人脈が作れる
デメリットは人それぞれだと思います。しかしメリットのほうが大きいから参加しているのだと思います。
感じ方次第で、毎年あり苦痛の人はあまり楽しくないし、楽しい人は人脈も広げられると思う。まつりはこのようなものであるかもしれない。
白根大凧合戦、それは大規模な騒ぎである。花火の音が聞こえれば騒ぎが始まると思っていい。
~風向き編~
白根大凧合戦、それは環境にも左右される複雑な、おまつりである。風向きによって合戦ができたりできなかったりするのである。
これは本当に当日の合戦会場である土手にあがってみないとわからない。
白根の人はそれを下風しもかぜという。下風イコール北風のことである。
風向きそれは360度全て可能性がある。しかし昔から6月上旬は北風が吹きやすいということでこの時期にしているということを聞いたことがある。
ピタッと北風がビュンビュンと吹いていることをアラカワということを白根の人は言う。
白根弁というものもあり、凧のことをイカという人もいる。
今ではネットを調べれば、すぐに予想風向き、風速が出てくるが、それが当たるときもあれば外れるときもある。
その時の風向きを見て朝に土手に何枚のたこをもっていくか決めたり、逆にいい風が吹きすぎて足りなくて、急いで凧を取りに行ったりもする。
風向きが反対のときはただのたこあげになります。それだけ風向きというのは重要な祭りです。雨が降っても凧はあげれません。これだけ天候に左右されて風向きにも風速にも左右されている環境によっている繊細なまつりでもあります。
~凧綱編~
白根の大凧はただの糸であげているわけではない。合戦という名の通り、勝負事である。その勝負で重要になってくるのは凧綱と呼ばれる凧に揚げ手が引っ張る紐のようなものである。
大凧の組は歴代編み手がいて、手によりをかけて一年かけて編み上げる。勝負で一番大切なところになってくる。
ツナ編み、それは神聖なことらしい。
匠乃会と呼ばれる凧綱製作育成会が存在する。各組他の組には教えない秘伝の技があるようだが、綱の編み手を増やそうということで結成された。
ツナ編みは師匠がいて、その人の真似をして編み方を伝授していく。何本も編んでいくうちにその勝敗を見て反省し、良いものは続けて工夫をしている。これは編んだ人にしか分からない感覚である。
太さ、重さ、長さ、それぞれ重要で、重すぎても今度凧があがらなくなる。
編む材料となるものは麻である。この麻も全国各地に出向き、良い麻を見定め、麻揉みをして編みやすくする。
綱の編み手は人一倍、凧に関しては敏感だ。凧の全てを分かっている人しか編むことは出来ない。長年の経験がものを言う立場である。
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