キャンペーン
佐賀県 鳥栖市神辺町
有田焼の産地商社であるKIHARAの取り組みの中でも、注目を浴びているのがシンガポール土産として人気の「SUPERMAMA×KIHARA」コラボレーションシリーズ。有田らしい白磁に藍色の染付けですが、日本人が見ると「なんだろう?」と思う絵が描かれています。これは、シンガポールに住む人が見れば誰でもが分かるデザインなのだそうです。
過密な都市国家であるシンガポールでは国民のほとんどが高層団地(HDB)に住んでいます。日本人ではピンとこないシルエットも、シンガポールの人にとっては、見慣れた団地のシルエット。そんなシンガポール文化がギュッとつまった皿を、日本の佐賀県有田町にあるKIHARAが生み出しています。
誕生のきっかけは、2012年にシンガポールで開催された日本製品の展示会。普通の展示会とは異なり、ショッピングモールでおこなうという形式でしたが、有田焼を手にとってもらえるものの、商談には結びつかないという状況が続いていました。
その展示会場にフラリと現れたのが現地の有名ギャラリーショップ「SUPERMAMA」のショップオーナーであるエドウィン氏。“日本のものが好き”というエドウィン氏は、KIHARAが持ってきていた、豆皿「KOMON」シリーズに興味を抱きます。「海外の方にとっては分からない柄も、日本人なら誰でも分かる柄であること」「お祝い事などにあげると喜ばれこと」など、文化が豆皿に込められていることは、シンガポールでは新鮮に映ったそうです。
そこで「KOMON」シリーズも含めた、KIHARAの器を預け、SUPERMAMAで業務委託として販売してもらうように交渉。ショップでの評判も上々のなか、新たなプロジェクトが立ち上がります。
日本では“絵柄に意味を込める”ことが昔から根付いています。七宝模様は、無限に繋がる輪ということから「子孫繁栄」などの意味が込められ、七宝模様をつかった商品は国内に多く存在しています。そうした商品がシンガポールにはないことに気付き、日本らしさを詰め込んだ「KOMON」のような、シンガポールらしさを込めた器を作成するプロジェクトがSUPERMAMA×KIHARAではじまります。
そして生まれた最初のシリーズが「高層団地」「オーキッド(シンガポールの国花)」「テンブス(シンガポールの中で最も有名な木)」など、シンガポール人なら誰が見ても分かるものを詰め込んだ『Singapore Icons』。まっさらな状態から、できあがるまで展示会から数えて4カ月。エドウィン氏の明確なイメージと有田の長い伝統の中で培ったKIHARAの開発力だからこそ、実現できたスピード・完成度でした。
このプロジェクトは続き、第二弾はコンペ形式で「シンガポールらしさ」を表すアイコンを募集。アイコンは予想以上に集まり「せっかくなら全部詰め込もう」と65個のアイコンを有田焼で表現した『One Singapore』が生まれます。これは、今までシンガポールになかった商品として、アートピース(飾り物)として購入する人が多く、政府関係者も贈答品として使用するほどの人気商品となりました。
その活躍はシンガポールを飛び出し、ヨーロッパやオーストラリア、カナダからオファーがくるなど、今も世界中に広まっています。
1 2
|
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
|
|