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北海道
「川湯の温泉川沿いを、すべて遊歩道にしたい」
阿寒摩周国立公園川湯地域運営協会(以下、運協)・宮﨑健一さんは夢を抱く。
温泉川とは、弟子屈町の川湯温泉街を縫うように流れる温かい川。
60度の温泉が自噴している場所もあれば、温泉施設からかけ流しの湯が注ぎ込むパイプもあり、夏は40度近い温度を保っている。
「温かい川なんて珍しいでしょ。せっかくなら裸足で歩けるようにしたいよね、という思いで清掃作業を始めたんです」
明治37年に開湯した川湯は、希少な強酸性硫化水素を含む温泉として、たくさんの湯治客に愛されてきた。時代とともに街は変遷し、それに伴って温泉川も様変わりして、そしていつしか川底が見えないゴミの川に……。
「捨てる川から眺める川へ」
長い間、川湯温泉の清掃と美化運動を続けてきた有志による団体、運協が掲げるキャッチフレーズである。
「2016年に阿寒摩周国立公園満喫プロジェクトが始まって、昨年は温泉街の中心部に残っていた廃業したホテルのパイプを撤去。今年は週2,3回のペースで川底の清掃をしていたら……」
出てきたのは、山ほどのガラス片とタイル片。100年以上の歴史とともに川底に堆積してきた、建造物の残骸だった。
「唖然としました。こんなに出てくるものなの、って(笑)。川底の砂利より多いくらいの想像を超える量に、関係者一同びっくりしました」
それでも根気よく清掃を続けていくうちに、岩盤が見えてきたという。手で触れると温かさを感じる、川湯温泉ならではの本来の川底。
「もしかしたら岩盤でアピールできるような場所になるんじゃない? そんな風に盛り上がって、清掃活動が次第に“岩盤出し”作業に変わってきたんです」と宮﨑さんはうれしそうに振り返る。
新たな何かを作るのではなく、元々あった自然を掘り起こして、新しい魅力につなげる。これこそ、持続可能な観光の先駆となるプロジェクトだ。
今後も岩盤出し作業をしながら、その他のエリアの川底清掃もしながら、整備計画はまだまだ続く。
「温泉川イコール、歩ける足湯。冬でも足元はぽかぽかのままで、宿泊施設に行って、遊歩道に並ぶ店に立ち寄って、そんな温泉街になったら面白いですよね」
温泉川は3キロ以上続き、その先は屈斜路湖まで続いている。その川沿いも整備すれば、“足湯トレイル”を作ることだって夢ではない。温泉川を元の姿に戻すことで、川湯温泉の可能性はどんどん広がっていく。
「でもまだ1割。いやぁ夢の実現には、まだ1割にもいっていないかな……。だけどずっとゼロだったのが、この2年間で急速に進んだ。始まったということがすごいんです」
こうした熱心な活動とその成果を目にして、いまは町民の意識が変わってきたという。
「観光客だけでなく、町民が歩いている姿を見るだけでうれしい。『こんなにきれいな川だったんだ』『ここにも温泉が流れていたんだ』と感じてくれたら、僕たちの夢が次の世代につながっていくかもしれない。そんな期待も抱くようになりました」と締めくくった宮﨑さん。
道東で訪ねるべき温泉として名高い、川湯。源泉かけ流しの極上の湯に浸かりながら、新たな川湯温泉構想へと向かうエネルギーも、ぜひ感じて欲しい。
<弟子屈町川湯温泉HP>
https://www.kawayu-onsen.com
< 川湯温泉うまいとこナビ>
facebook:@kawayu.food
https://www.facebook.com/kawayu.food/
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