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地方都市が企業誘致を行うメリットとは?取り組み方や成功事例を解説
地方創生の一環として有効な手法の1つに「企業誘致」があります。地方都市への移転に前向きな企業が増えていることに加えて、自治体が優遇制度を用意して企業誘致を行うことも多く、企業誘致が実現するケースが増えてきました。
それでは、地方都市が優遇措置を用意してまで企業誘致を行うのにはどの様なメリットがあるのでしょうか。企業誘致を実行に移すための取り組み方や、他の自治体が行った成功事例について解説します。自治体にとっても、住民にとってもメリットが多いため、企業誘致を前向きに検討してみましょう。
地方都市が企業誘致を行うメリット
地方都市への企業誘致は主に経済の活性化において大きなメリットをもたらします。具体的なメリットを3つ紹介します。
地元での雇用創出効果が期待できる
企業を誘致することにより、地元での新規雇用創出効果が期待できます。地元住民を新しく社員として採用する動きを見せる企業があるほか、清掃をはじめとするパート・アルバイトという形での雇用創出も期待できるでしょう。
また、雇用が生まれれば当然そこには人が集まることになります。規模の大きな企業を誘致することができれば、近隣の都市から通勤で訪れる人の数も増加するでしょう。魅力のある企業が地元にあれば、都市部への人口流出といった問題を抑える効果にも期待できますし、地元に愛着を持つ人のUターン就職を見込むこともできます。
企業の投資による設備投資が生まれる
企業の移転や新拠点設立の際には、オフィスや工場といった施設への投資が生まれます。社員が多い企業の場合は、会社周辺に寮を作ることもあるでしょう。
この様な施設建設を地元企業の建設業者らが請け負うことで地域経済の活性化が期待できます。企業誘致が確定した段階でその企業による地方都市への投資が生まれるのです。
二次的な仕事を受注できる企業が増加する
企業誘致によって多くの人が働くようになると、その周りには二次的な仕事を受注できる企業が増えていきます。例えば100人が働くオフィスができればその周辺には飲食店の需要が生まれますし、物流のやり取りがはじまれば、運送業者の受注量も増加します。
また、このような形で地域の既存企業と誘致した企業との結び付きが強まると、新たなビジネスモデルを確立できる可能性も高まります。外部からの視点と内部の経験が合致することにより、将来に繋がる事業が誕生することもあり、地方創生の有効策として生かすことが可能です。
過去の事例から見た企業誘致の成功例
これまでに企業誘致を行った自治体と企業を振り返ると、どのような成功例が見当たるのでしょうか。世界に向けて地域の名前を発信できたり、地域の特徴を生かしたりすることによって成功に導いた自治体は非常に多いため、先例を参考にしながら企業誘致を検討しましょう。
三重県亀山市の成功例
亀山市という名前を聞いただけでもピンとくる方は多いはずです。三重県亀山市には、かつて日本を代表する電気メーカーである「シャープ」の亀山工場があります。かつてここでは液晶テレビの製造を行っており、「世界の亀山モデル」として大々的な売り出しが行われました。
シャープが亀山市を選んだのは偶然ではなく、三重県と亀山市が補助金を交付することによって企業誘致を行った結果として工場の新設が決まったといういきさつがあります。亀山ブランドは日本国内のみならず、海外にも深く浸透しており、亀山という地域の名前は世界各国にまで広がりました。
現在の亀山工場では、液晶テレビの製造は中止していますが、代わってスマートフォン向けのディスプレイの生産を行っています。亀山市にはアップルコンピュータ社のオフィスがあり、亀山工場には専用の連絡通路まで用意されています。
沖縄県の成功例
沖縄県は「情報通信産業特別地区」として指定されています。これに伴ってIT関連の企業誘致を積極的に実施しており、県内で約3万人に迫るIT企業従事者の確保に成功しました。特徴的なポイントとなるのは、そのうちの約2/3をコールセンター職員が占めていることでしょう。
企業側が沖縄県を選ぶメリットとしては、最低賃金の低さを挙げられます。コールセンターのスタッフは、地域とは関係なく日本国内のどこからでも働けるという特徴を持つ業種です。海外にオフィスを構えるのと同等のコストで、日本語対応できるスタッフを確保できる点が企業の魅力になっています。
IT企業の誘致がなければ、このような形での雇用創出を行うことはできなかったでしょう。近年ではIT関連の中小企業やベンチャー企業も沖縄県に移転するケースも目立ち始めており、好循環を生み出すことにも成功しています。
地方都市が企業誘致を成功させる方法
自治体が望んだとしても、企業が魅力を感じ、移転に前向きにならなければ、企業誘致を成功させることはできません。それではどのような取り組み方をすれば地方都市が企業誘致を成功させられるのでしょうか。いくつかの実例を見ながら、移転を成功させるためのヒントをお伝えします。
地域の強みをセールスポイントにする長野県小諸市
長野県小諸市は、避暑地として有名な軽井沢からほど近い地域にあります。東京都からのアクセスが良いことと、リゾートからも近いという立地面での優位性を生かし、主にIT企業に関連するサテライトオフィスの誘致を積極的に行ってきました。
小諸市は国内外で人気の高い「小諸ワイン」の生産地でもあります。このような地域の強みをセールスポイントにして、醸造業を営む企業の誘致にも乗り出しています。地元の立地や特産品を見つめ直し、魅力を感じてもらえる業者を絞り込むことが、企業誘致成功の秘訣です。
ターゲットを絞って補助金を交付した茨城県
首都圏の1つである茨城県には、国の研究機関が多く集結しています。情報が集まりやすい地域性である一方で、海外企業が少ないとい欠点を抱えていた茨城県では、海外企業への補助金を交付して、外資系企業の誘致を果敢に行っています。
このような形で、ターゲットを絞って補助金を交付するという戦略も非常に有効です。地域が何を求めているのかを明確にすることにより、企業側の注目も集まりやすく、ウィンウィンの関係性を築きやすくなります。
地域の文化を世界に発信するための企業誘致を行う三重県伊賀市
伊賀市には伊賀焼をはじめとする伝統工芸品が多数あります。伊賀市では海外企業を誘致することで異文化を掛け合わせた新しい商品を作ることを目的に、企業側は日本の歴史や伝統に興味を持つことが理由でマッチングに繋がっています。
現在では、海外企業の力を借りる形で、伊賀市から世界に向けて伝統文化の発信も行っています。国際的なイベントを繰り返すことにより産業の活性化が生まれ、インバウンドを見込める基盤作りにも成功しました。
まとめ
自治体の税収を上げることや、雇用促進をはじめとする効果を生み出すために、自治体による企業誘致はとても効果的です。魅力的な企業を誘致することで都市部への人材流出を防ぎ、反対にUターン就職を見込めることもポイントと言えるでしょう。
誘致を成功させるためには、地域の魅力や特色を整理し、相性が良いと考えられる企業にターゲットを絞り込んで、誘致活動を行うことが重要です。企業誘致を通じて地域の魅力を世界に発信できたケースもあり、企業誘致はとても価値のある活動になります。
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