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地方創生交付金とは? 交付を受けるための要件や活用例を紹介
現在の日本において、一部の地方では急激に人口の減少と高齢化が進行しており、消滅の危機に瀕している地域も多くあります。
この様な状況の中で地方を活性化する地方創生の取り組みは非常に重要な意味を持ち、その推進を後押しするものが「地方創生交付金」です。
この記事では、地方創生交付金の概要を解説した上で、交付を受けるための要件や日本全国における活用状況、具体的な活用例を紹介します。
地方創生交付金とは?
地方創生交付金とは、地方の人口減少に歯止めをかけ、地域の活性化を図るために支給される交付金です。
地方創生交付金制度の具体的な支援内容としては、内閣府の地方創生推進事務局交付金チームが発行している地方創生推進交付金の概要に以下の様に定められています。
①地方版総合戦略に基づく、地方公共団体の自主的・主体的で先導的な事業を支援
②KPIの設定とPDCAサイクルを組み込み、従来の「縦割り」事業を超えた取組を支援
③地域再生法に基づく法律補助の交付金とし、安定的な制度・運用を確保
ここでいう「先導的な事業」とは、地方創生の深化に向けた事業を意味し、具体的には次の3つを指します。
・官民協働、地域間連携、政策間連携等による先駆的な事業
・先駆的・優良事例の横展開を図る事業
・既存事業の隘路を発見し、打開する事
つまり、地方創生交付金は、自治体が上記に該当する事業を自主的・主体的に行うことを支援する目的で支給される交付金ということになります。
地方創生交付金の申請のためには、自治体は上記事業に係る5ヶ年度以内の地域再生計画を作成して国に対して提出する必要があり、内閣総理大臣がこれを認定することで交付されます。
交付金額は自治体が任意で設定する再生計画の数値目標に基づいて決定されます。
また、交付後も事業の進捗状況が地域の住民や国によって検証され、その結果によって事業計画の見直しや、交付金額の変更が行われる場合もあります。
事業進捗の検証には、具体的な成果目標として設定されたKPIが用いられ、KPIに基づいて当初策定した事業計画の検証→見直し→実施というPDCAサイクルを確立することで、将来的に交付金に頼らず事業を自立した形で継続できるようにする狙いがあります。
地方創生交付金の対象となる事業について
地方創生交付金は地方公共団体の自主的・主体的で先導的な事業を支援するものであると解説しましたが、事業内容についてもう少し詳しく噛み砕いて解説しておきましょう。
地方創生交付金の対象事業は、大きく2つに分かれます。
1つ目は「先駆性のある取組及び先駆的・優良事例の横展開」であり、官民協働、地域間連携、政策間連携、事業推進主体の形成、中核的人材の確保・育成が該当します。
具体例としては、しごと創生、DMO等の観光振興、障害活躍の街、働き方改革、商店街活性化等が挙げられます。
2つ目は、「わくわく地方生活実現政策パッケージ(移住支援及び新規就業支援)」です。
これは東京圏から地方へ移住するための費用や、女性や高齢者が新しく仕事に就くための費用の負担を軽減するというものです。
この様な事業に対してまずは交付金を支給し、KPIに基づいたPDCAサイクルを確立することでゆくゆくは交付金なしで自走できるようにすることが、地方創生交付金の目的です。
地方創生交付金によって期待される効果
・地方における安定的な雇用を創出する
・地方への人の流れを作り出す
・地方の活性化
・都市部への一極集中、および地方の担い手不足の解消
いずれも地域創生のためには重要な要素ですね。
地方創生交付金の活用実績
内閣府地方創生推進事務局交付金チームの発表によると、平成28年度から平成30年度までの実績として、当道府県では47団体全てが地方創生交付金を活用しています。
また、市区町村で見ると、全1741団体のうち、およそ3/4にあたる1300団体が交付金を活用しており、1392億円分の事業が採択されています。
このデータを見ると、地方創生交付金は非常に多くの地方自治体に活用されていることが分かります。
具体的な活用例
地域の好循環を支える市民主体のまちづくり
滋賀県湖南市では平成18年から、転出が転入を上回る状況が続き、特に若者の転出超過が多いという問題を解決できずにいました。
この解決のため、地方創生交付金を活用して市内に7つある地域まちづくり協議会の活動を支援することで、魅力ある地域コミュニティを実現し、人口減少の抑制を図りました。
具体的には、コミュにビジネス推進、地域交通、観光振興といった事業に取り組み、KPIとして設定した社会胴体、地域まちづくり協議会の事業への参加者数、地域まちづくり協議会の自己収入全ての指標において改善が見られました。
いつまでも住み続けたいふるさと七尾事業
石川県七尾市では人口の減少が続いており、地域コミュニティの活性化や移住定住の促進に取り組むものの、人口流出を止めることができず、地域コミュニティの機能そのものが低下してしまうという構造的な課題を抱えていました。
そこで地域コミュニティの中で最も小さな「地区」を「小さな拠点」と位置づけてっ協議会を設立し、行政に頼らずに独自の判断のもと、実情にあった地域の振興や活性化に取り組む活動を推進しました。
具体的には地域コミュニティ交付金や地域創生交付金によって地域活性化への取り組みを支援し、さらに地域づくり研修会を開催して地域活性かのためのノウハウを学べる取り組みを実施。
結果として、KPIとして設定した県外からの転入者数は43名から163名に、新たなコミュニテイビジネスの立ち上げ件数は1件から12件に、地域づくり協議会の設置地区は13地区から15地区に増加しました。
まとめ
地方創生交付金の概要と要件、活用状況と具体例について解説しました。
少子化による人口減少が進む中で人口が都市部に集中し、地域の活力が失われていく状況は日本全体が抱える問題であり、地域創生は優先的に取り組むべきものです。
そのためには、地方の地域創生のための事業を支援する地方創生交付金は非常に重要な役割を果たすものといえるでしょう。
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