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Uターン、Iターン、Jターンとは?違いやメリット、失敗しないための方法を解説します
地方でののどかな暮らしに注目が集まるなか、UターンやIターン、Jターンといったライフプランへの関心が高まりつつあります。
また、いま都会暮らしをしている人のなかには、仕事をリタイアしたあとにUターンやIターンで地方に移住したい、と考えている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、Uターン・Iターン・Jターンの違いについて触れるとともに、移住する際のメリットや注意点、移住を失敗しないための方法などについてご紹介します。
Uターン、Iターン、Jターンってなに?
地方への移住の話題とともによく耳にする言葉で、Uターン・Iターン・Jターンがあります。
似ている言葉ですがそれぞれで微妙にニュアンスが異なりますので、Uターン・Iターン・Jターンの意味や相違点について確認してみましょう。
Uターン:出身地に戻ること
Uターンとは、簡単にいうと出戻りのことです。
一度地元を離れた人が、就職や転職などをきっかけに地元に帰ってくることを指します。
たとえば、大学進学をきっかけに上京し、大学を卒業してから地元企業へと就職したり、結婚・出産を理由に子育てのしやすさを考えて実家に帰ってきたりするようなケースです。
都会での生活で培った経験やスキルを活かして、地元の発展に貢献したいという地元愛が強い人がUターンを選ぶことが多いでしょう。
Iターン:都会出身の人が地方に移住すること
Iターンは、都市部での生活に慣れ親しんだ人が就職や転職、結婚、ライフスタイルの変更などを理由に地方へ移住することをいいます。
生まれも育ちも東京の人が、田舎ののんびりとした暮らしや、自給自足の生活に憧れて北海道へ移住するというパターンです。
都会の息が詰まるような生活にストレスを感じる人や、森林や川、海などの自然に憧れをもつ人が、ライフプランのひとつとしてIターンを取り入れています。
Jターン:出身地の近くに移住する
Jターンとは、出身地の田舎から都市部へと移り住んだ人が、地元に近い地域に戻ってきて生活をスタートさせることを指します。
生まれ育った地元へ戻ってくるUターンとは違い、出身地の近県や出身地近くの都市部に移住するパターンです。
たとえば、長崎県の離島で育った人が就職をきっかけに大阪へと移住し、その後転職を経て福岡県に移住するというケースはJターンに分類されます。
「地元だと不便だから、地元に近い都市部に移住したい」という人には、Jターンが適しているでしょう。
Uターン、Iターン、Jターンのメリット
Uターン・Iターン・Jターンには多少異なる点があるものの、大きな目的は新しい地域へ移住することです。
「慣れ親しんだ地元に戻るのか」「はじめての土地に移り住むのか」は人それぞれですが、Uターン・Iターン・Jターンでの移住にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、Uターン・Iターン・Jターンで移住する際に期待できるメリットについてご紹介します。
なお移り住む地域によっては、ご紹介するメリットが必ずしも得られるわけでありません。
移り住みたい地域をイメージしながら参考にしましょう。
通勤時間が短くなる
地方の田舎に移住することで、賃料や土地代などが安く済み職場の近くに住めるため、通勤時間が短くなる可能性があります。
2017年に総務省統計局が発表した『平成28年社会生活基本調査』によると、平日の通勤・通学時間は神奈川県が1時間45分と、もっとも長いことがわかりました。
ついで千葉県の1時間42分、埼玉県の1時間36分、東京都の1時間34分と、関東地方で長くなる傾向にあります。
一方、もっとも短かったのは大分県の57分で、つづいて鹿児島県、島根県、秋田県、青森県が同順位で58分です。
この結果は、都会では住宅コストが高くなり、職場から離れたところに住まざるを得ないケースが多いことが理由だと考えられます。
人混みや満員電車を避けられる
UターンやIターン、Jターンで人口密度が高い都会から離れると、人混みや満員電車から解放された暮らしが実現できるでしょう。
人通りが多くなる都会での暮らしは、繁華街で人混みに巻き込まれたり、通勤・通学で満員電車に乗ることを余儀なくされたりする場面が多々あります。
都市部から離れて人口密度が小さい地方へ移住すれば、人の多さをわずらわしく感じることも少なくなるかもしれません。
自然豊かな環境でのびのびと生活できる
都会の喧騒から離れた地方の田舎へ移り住めば、自然豊かな環境でのびのびと生活できます。
木々が生い茂った森林や澄んだ水が流れる河川、夕日がきれいな海など、都会では味わえないような自然の豊かさや落ち着いたプライベートな時間を満喫できるかもしれません。
また、アウトドアが趣味の人は、地方の自然に魅了されて移住を決意したというケースも見受けられます。
子育てがしやすくなる
子育て環境の充実を目的に、Uターン・Iターン・Jターンで移住する方もいらっしゃいます。
都会では保育園の定員が埋まっていて、仕事と子育ての両立が難しいケースも多く見受けられるでしょう。
一方、地方は都会よりも子どもを預けられる施設がみつかりやすく、仕事と子育てのバランスが取りやすい傾向にあります。
また、地方ではコミュニティ内のつながりが強いため、地域の人々が協力し合って子どもを育てようとする意識が高いようです。
このような環境だと、共働きの世帯でも安心して子育てができるでしょう。
物件や生活にかかる費用を抑えられる
都会から地方へと移り住む場合、物件や生活にかかる費用を安く抑えられる可能性が高まります。
2020年に総務省統計局が発表した『小売物価統計調査』によると、全国平均を100としたとき、住居において物価指数がもっとも高かったのは東京の132.3です。
もっとも低い鳥取県の81.7と比べると、約1.6倍になっています。
慣れ親しんだ地元に戻れる
Uターンの場合、自分が生まれ育った、慣れ親しんだ地元で暮らすことが可能です。
フリーランスやテレワークといった多種多様な働き方が浸透しつつある現代では、都会での暮らしにストレスを感じて、生まれ育った地元に戻ってくる人も増えつつあるでしょう。
また、土地柄を知った地元なら地域住民との交流や子育てなどもしやすくなるという理由で、Uターンを実行する人もいます。
自治体の支援を受けられる場合もある
IターンやJターンなどで地方に移り住む場合、移住先の自治体からさまざまな支援を受けられる場合もあります。
また、各自治体では希望者を対象とした移住セミナーを開催しており、移住者に向けた経済的支援などを積極的に実施中です。
移住者の受け入れを積極的に取り組んでいる人気地域なら、引越し費用の支援や各種補助金などが受け取れる可能性が高いでしょう。
Uターン、Iターン、Jターンには注意点もある
移住しようと決断する理由は人それぞれ違いますが、移住によっていまの暮らしを改善したいという理由が多いのではないでしょうか。
しかし、移住したからといって必ずしも改善できるとは限らず、移住したことによって新たな問題が発生する可能性もあります。
移住する前に、どのような注意点があるのかを知っておくことが大切です。
Uターン・Iターン・Jターンで移住する際に事前に把握しておくべき注意点とはなにか、順番にみていきましょう。
交通の便がよくない
Uターン・Iターン・Jターンで都会を離れると、交通の便がよくない地域へ移住することになるかもしれません。
都会だと電車やバス、タクシーなどの交通機関が発達していますが、地方によっては数時間に1本しか電車やバスが走らない地域もあります。
いまよりも田舎の地方へ移り住む場合は、公共の交通機関の使い勝手が悪くなることを前提にしておく必要があるでしょう。
お店や施設の数が少ない
都会から離れたUターンやIターン、Jターンの場合、買い物や娯楽を楽しめるお店や施設の数は少なくなるでしょう。
普段の買い物をするスーパーまで、車で1時間以上かかるという地域もあります。
ショッピングモールや映画館、遊園地などは近くにないかもしれません。
ただし、最近はインターネットによる買い物が浸透しつつあるので、田舎暮らしでも買い物ができなくて困るという場面は少なくなっているようです。
仕事の選択肢が少ない
都会を離れて田舎の地域へ移住した場合、都会に比べて仕事のジャンルや選択肢が少なくなる可能性が高まります。
都会だとビジネスチャンスが多く、サービス業やIT関連企業などを中心に、ビジネス街なども存在します。
しかし地方の田舎では、農業や酪農、漁業などが中心になるかもしれません。
転職先によっては年収が減る可能性も
田舎への移住の場合、移住先への転職によって年収が下がってしまう可能性があります。
2021年3月に厚生労働省によって公表された『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、労働賃金の全国平均は約30.7万円で、全国平均を上回っている都道府県は東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府です。
これらの地域から離れて移住する場合、転職によって年収が下がる可能性が高くなります。
いままでになかった費用がかかる
移住先の地域によっては、いままでの暮らしで必要がなかった費用がかかるケースがあります。
たとえば、都会での暮らしで車を必要としていなかった人でも、交通の便がよくない田舎での暮らしでは、移動用の車を購入する必要があるでしょう。
また物件を購入した際は、固定資産税や修繕・リフォーム費用なども発生します。
地域の方々との人間関係に苦労することもある
新しい土地へ移住すると、地域の方々との人間関係に苦労する場合があります。
とくにIターン・Jターンの場合は、あまり馴染みがない地域へ移り住むことが多いはずなので、地域のコミュニティを一からつくっていく必要があるでしょう。
人付き合いが苦手という人にとっては、地方での暮らしのほうが逆にストレスを感じてしまうかもしれません。
Uターン、Iターン、Jターンに向いているのはこんな人!
Uターン・Iターン・Jターンによる移住は、メリットもあれば注意点も存在します。
自分の性格や目的に合っているのか、慎重に検討することが大切です。
主に以下のような特徴がある人には、Uターン・Iターン・Jターンが向いているでしょう。
・仕事やプライベート、子育てのバランスを大切にしたい人
・場所に関係なく経済活動を確立できる人
・慣れ親しんだ土地で生活したい人(Uターンの場合)
・生活コストを下げたい人
「都会での暮らしが合っていないから」「田舎でのんびり暮らしたいから」という理由だけでなく、仕事や子育て、生活面などでしっかりとした目的や目標をもっていることが大切です。
一方、以下のような特徴があてはまる人には、Uターン・Iターン・Jターンをあまりおすすめできません。
・移住することによって収入を下げたくない人
・車の免許がなく、公共の交通機関を利用したい人
・商業施設や娯楽施設の充実を優先する人
・地域住民とのコミュニケーションが苦手だと感じる人
都会から地方へ移住する場合は、年収や生活の利便性などの水準が下がる可能性が高まります。
生活水準を下げたくないという人には、不向きかもしれません。
また人付き合いが苦手という人でも、地方での生活では最低限の交流は必要になるでしょう。
Uターン、Iターン、Jターンで失敗しないためのポイント
Uターン・Iターン・Jターンで新しい土地での生活をスタートしたところ、その土地の雰囲気や慣習に馴染めずに後悔をした、というケースも少なからず見受けられます。
移住先での暮らしを成功させるためには、失敗しないためのポイントを意識しておきましょう。
ここでは、Uターン・Iターン・Jターンによる移住で失敗しないために、意識したいポイントについてご紹介します。
明確な目的をもって計画する
Uターン・Iターン・Jターンで新しい土地に移り住むときは、明確な目的をもって移住の計画を立てることが大切です。
「Uターンで故郷に戻って、地元産業を発展に貢献したい」「Iターンで都会の喧騒から離れて、緑が溢れた大自然の環境に移り住んで子どもをのびのびと育てたい」など、できるだけ具体的かつ明確な目的をもちましょう。
移住先について徹底的にリサーチする
IターンやUターンで土地柄などを知らない地域に移り住む場合、移住先について徹底的にリサーチしておきましょう。
もちろん、移住先の現地に足を運んで調査するのは大前提です。
「移住先がどのような気候なのか」「移り住む近くにスーパーやドラッグストアなどはあるのか」「通学できる範囲に学校はあるのか」など、移住先での暮らしを想像しながら入念に調べておくことをおすすめします。
移住にかかる費用を細かく見積もる
移住の計画を立てる際は、移住にかかるコストや、移住後の生活で必要になる費用を細かく見積もっておくことが大切です。
たとえば、電車やバスなどの交通の便がよくない地域へ移り住む場合、移動用に車やバイクなどを購入する必要があるでしょう。
それにともなって、ガソリン代や駐車場代、車検費用などの維持費もかかります。
また、地域によっては光熱費や水道代などが上がってしまったり、月に一度自治会費を払う必要があったりするかもしれません。
自治体の窓口で相談をしてみる
移住について不安なことや不明点などがあれば、移住先の自治体窓口に一度相談してみることをおすすめします。
インターネットの情報だけだと実際の暮らしや環境を肌で感じられず、移住してからの生活が具体的にイメージできないかもしれません。
移住前に下見で現地を訪れた際に、移住について聞きたいことを窓口に相談してみましょう。
自治体によっては定期的に移住セミナーを開催しているところもあり、実際に移住した人の生の声を聞くことも可能です。
まとめ
ライフスタイルが多様化している昨今において、UターンやIターン、Jターンによる移住が注目されています。
それらのメリットや注意点、移住で失敗しないためのポイントなどを把握して、綿密に計画を立てることが大切です。
地方にとって移住者の受け入れは地域活性化に期待でき、移住者を歓迎する自治体が多いです。
移住のメリットや注意点などを頭に入れて、自分の理想や目的に合った方法で充実した暮らしを実現させましょう!
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