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佐賀県 鳥栖市神辺町
私はアメリカ出身のクリス・ウィリアムズです。大学時代に日本に留学に来たのがきっかけで日本が好きになり、アメリカに帰った後もまた来日し約8年以上ずっと日本で働いています。特に歴史が好きなので、今回は基山の大興善寺と基山商店へ行きました。
佐賀県基山町は県の東部にあります。博多駅から電車で約25分(480円)、基山駅に到着し、そこから大興善寺行きのミニバスに乗って大興善寺に向かいます。最寄りは小松バス停で、基山駅から100円で行けます。
小松バス停から徒歩5分、大興善寺の入り口に続く石段(きぼうの坂)に向かう小道を歩きます。大興善寺は奈良時代(西暦717年)に創建され、有名な僧侶行基が寺院の屋上を茅葺きにし、通常は秘密の仏として一般客からは見えないように隠されている十一面観世音菩薩を彫ったと言われています。
127段の石段を上ると、目の前に寺院の敷地が広がります。寺院の本堂は、かつて寺院の屋根に一般的に使用されていた茅葺き屋根(草庵)を備えていますが、これは今日では非常に珍しいものです。建築の中に残っている生きた歴史をこの目で見ることはとても貴重な体験ですね。
右側が茅葺き屋根の本堂(草庵)、左側は瓦を使用した一般的な日本の建物です。
本堂の内観
つつじは基山町のシンボルにもなっている植物ですが、大興善寺はつつじ園と石段に沿って植えられたつつじで有名です。とりわけ4月から5月のつつじの花の盛りは見事ですが、秋もまた紅葉が見頃を迎え、大興善寺は華やかな色彩に包まれます。
十一面観世音菩薩は通常は隠されており、12年に一度の御開帳のときのみ拝観することが出来ます。直近では2014年に行われましたので、次回の御開帳は2026年になります。
また、契山に登って契山観世音にお参りすることもできます。
契山観世音像は2008年に設置され、1年後に完成したお堂とともに寺院庭園に新しく加わった観音ですが、契山には長い歴史があります。地元の民間伝承によると、この山の名前は、植樹と土木工学の神五十猛命(イソタケルノミコト)と地元の娘(さこの姫)の間で行われた結婚式を指していると云われています。この伝説により、契山と大興善寺は恋人たちの聖地として有名になりました。山を登ると息が切れるかもしれませんが、秋の景色はその息を呑むほど美しいものです。
大興善寺から町に戻り、次は基山商店へ向かいました。基山駅から徒歩5分のところにある基山商店には、基山酒蔵があります。基山商店は1920年に創立されましたが、その歴史は140年前の明治時代にまでさかのぼります。佐賀平野は戦国時代から米の生産が盛んな穀倉地帯で、それに伴い日本酒作りも発達してきました。基山商店は、この素晴らしい酒造りの歴史
の過去にあなたを連れて行ってくれるでしょう。
かつて日本酒は単体で飲むのが一般的でしたが、近年ではワインのように食事や軽食と組み合わせたり、よりフォーマルな場でのお酒として楽しまれるようになりました。
基山酒造では酒蔵を見学させてもらい、酒造りの工程を学びました。日本酒の製造プロセスは約600年前の室町時代に標準化され、現在でも使用されています。
ここでメインに使われている山田錦は酒造りに最適な米とされています。玄米の状態ではふすまが付着しており、これが多すぎると風味が損なわれるため、白米に精製して甘みを出す必要があります。ふすまの最大70%を取り除き、すっきりとした滑らかな味わいの日本酒を作ります。
米ぬかを取り除いた後、白米を洗い、水に浸けて柔らかくします。この後、大きな炊飯器にご飯を入れて、湯沸かし器から蒸気を送り込み、炊飯します。
醸造所の中には麹室があり、発酵工程で麹米を貯蔵・製造するために温度は34度で一定に保たれています。そこで米に麹酵母を接種し一晩放置しますが、ここが発酵プロセスの鍵です。
発酵室に入ると、米と麹だけで出来ているとは信じられない新鮮なメロンのような新酒の香りがします!
基山商店での貴重な体験の後、駅に戻る途中で「一福」に立ち寄り、佐賀の郷土料理を頂きました。私が注文したのは、シシリアンライスと呼ばれる有名な佐賀料理で、サラダ、焼き肉、玉ねぎ、マヨネーズが乗ったご飯です。また、基山はエミュー肉で有名で、一福ではエミュー串揚げが名物だそうです。珍しい食べ物に興味のある人は是非チャレンジしてみて下さい!
基山では、奈良時代から続く寺院の伝統的な建築や美しい自然を楽しみ、酒造の見学を通して昔ながらの人々の生活の歴史に触れることができました。JR博多駅から電車で30分の場所にある基山を、是非訪れてみてはいかがでしょうか。
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