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2021.07.14

観光情報

ウィズコロナで注目される「ミニマムツーリズム」とは?成功事例とあわせて解説

記事投稿者 みんなの観光協会<第3編集部>

所在地: 佐賀県基山町

みんなの観光協会の第3編集部です! 地方創生や観光系、地域活性系のニュースを定期的に配信します。

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ウィズコロナ、アフターコロナという観光業にとって非常に厳しい時代では、自宅から1~2時間圏内への旅行を意味するミニマムツーリズム(マイクロツーリズム)への関心が高まっています。これを強化し、地元からの旅行客を増加させたい自治体は多いのではないでしょうか。

 

今回は、コロナ禍における旅行業を支えるための切り札となるミニマムツーリズムの事例をご紹介します。この時代でも「予約困難な宿」としての立ち位置を維持する「星野リゾート」の事例も含め、各所の取り組みを参考にしてみましょう。

 

ミニマムツーリズムの事例①:星のや東京

コロナ禍においても予約困難な状況を維持する「星野リゾート」は、いち早くマイクロツーリズムの重要性を訴えた企業の一つです。そんな星野リゾートが、首都圏在住の方に向けて行っているマイクロツーリズムが「星のや東京」を活用した事例になります。

 

「星のや東京」がテーマに据えているのは「都内で心も身体もリフレッシュする温泉旅館滞在」です。このホテルは東京・大手町というオフィス街の一角に位置する施設でありながら、都会の喧騒から離れ、リゾート気分を満喫できる落ち着いた温泉旅館であることが特徴といえます。

 

自宅からホテルまでを自家用車やタクシーで繋ぎ、すんなりとチェックインできる体制を整えていることも、多くの旅行者を安堵させる要因です。食事や温泉も「プライベート空間」を演出することに力を込めており、感染症予防対策が徹底されています。

 

 

星野リゾートでは「最高水準」のコロナ対策を実施中

 

星のや東京を筆頭に、星野リゾートではすべての施設で「最高水準」を自認するコロナ対策を実施しています。「三密回避」と「衛生管理」を基盤とする充実したサービスを提供することで既存顧客を繋ぎ止め、新たなファンを取り込むことにも成功しているのです。

 

ミニマムツーリズムの強化という面では、自宅へのタクシー配車サービスを行う施設も存在します。例えば「界 箱根」では、自宅から旅館までのタクシー送迎を実施し、公式ホームページ上で料金の概算表示も行いました。

 

感染症対策が徹底されたタクシーの配車を依頼できることで、多くの旅行者の信頼を獲得することに成功しています。外部との接触が無く、しかも自分自身で運転せず旅行に出掛けられることは、ミニマムツーリズムにおける一つの理想像とも言えるでしょう。

 

ミニマムツーリズムの事例②:嬉野茶事

 

日本三大美肌の湯の一つとして数えられる「嬉野温泉」がある佐賀県嬉野市では、地域の魅力を近隣の住民に思い出してもらうことを意識した取り組みを行っています。その代表例が、温泉旅館経営者らが協力して行う「嬉野茶事」というプロジェクトです。

 

嬉野市が自慢としているのは、地域名産の「嬉野茶」と「備前吉田焼」、そして「温泉」とそれに関連する宿です。この三つの伝統文化が栄える唯一無二の舞台である嬉野の魅力を現代的にアレンジし、食す・飲む・観るという3つの空間を生み出し、地元民にも訴えかけることをコンセプトとするのが本プロジェクトになります。

 

温泉旅館のラウンジにおいては、お茶のプロフェッショナルである茶農家が接客を務めることが特徴的です。香りが引き立つワイングラスにお茶を注ぐなどの工夫もあり、地域の魅力を再発見することを求める観光客で連日満員となったイベントも生まれました。

 

嬉野茶事の特徴は、地元のみならず、都心にまで出張する形を取って旅行体験の機会を生み出していることです。例えば東京・日本橋の大手外資ホテル「マンダリンオリエンタル東京」や、「六本木ヒルズ」においてもイベントが開催されています。

 

これはSNSでも話題となり、都民を中心とする関東に住む人々が嬉野の文化を知るきっかけにもなりました。こういった形で身近なミニマムツーリズムを実現させることにより、アフターコロナにおけるバリューを高めることにも成功した、参考にすべき事例です。

 

ミニマムツーリズムの事例③:NIPPONIA 小菅 源流の村

 

山梨県小菅村では、地域の森林内にある約100軒の古民家を改修する形で各古民家をホテルにリノベーションし、「NIPPONIA 小菅 源流の村」という取り組みを行っています。7年前から始まったプロジェクトですが、コロナ後の2020年7月以降から連日満員という圧倒的な人気を誇ることで注目を浴びました。

 

2013年頃から発足したこちらのプロジェクトがここにきて人気を爆発させた理由には、まず都心から近いという立地の良さを持つことを挙げられます。東京都内から車で約2時間という距離にあるため、小旅行としてはちょうどよい距離感だったのです。

 

さらに、分散型という特殊なホテルのシステムも功を奏しました。一つの施設内に多くの客室を備える一般的なホテルの構造とは異なり、コテージのように個々の古民家を利用できることが源流の村の特徴であることから、自ずと「コロナ対策」ができていたのです。

 

また、食事に関してはホテル側から食材が届けられますが、それを調理するのは自分自身という特殊なプランも人気を博しています。ホテル滞在というよりも、別荘で暮らしているような感覚も話題を集め、そのことが人気の拡大につながったとも考えられるでしょう。

 

小菅村は、利用価値を無くしつつあった点在する古民家の処理という課題を長所に換えて、ウィズコロナの時代に成長を遂げました。これも一つのモデルケースとして、地域創成の参考事例に活用できるものといえます。

 

ミニマムツーリズムの事例④:青森県弘前市、広島県尾道市

 

自治体が主導するミニマムツーリズムの事例としては、青森県弘前市・広島県尾道市という二つをご紹介できます。まず青森県弘前市では「食べて泊まって弘前応援キャンペーン」を、青森に隣接する秋田・岩手両県在住者に向けて実施しました。

 

このキャンペーンでは、特定の宿泊施設を両県在住者が利用した場合、1泊あたり2,000円の宿泊割引に加え、2,000円分の飲食券配布というサポートを実施しています。合計4,000円の価値を持つ旅の提案として、多くの注目を集めたことは言うまでもありません。

 

これにより、弘前市では地域の観光業を潤わせ、なおかつ名産品の消費を促すことにも成功しました。割引は3連泊分にまで対応を行っており、最大で12,000円相当の割引という形で、地域と旅行者の両方をサポートしています。

 

続いて広島県尾道市では「おのみちGO!GO!キャンペーン」と銘打った企画を打ち出しています。このキャンペーンに参加できるのは中国地方にある5県と、海を挟んだ向かいの愛媛県に住む人々であり、ミニマムツーリズムを支援する内容です。

 

尾道市が実行したキャンペーンの中心となったサービスも割引です。こちらは宿泊料として2,000円が割り引かれる上、飲食券が2,000円分、お土産券は1,000円分のクーポンが発行され、合計で5,000円の割引を受けられるキャンペーンでした。

 

まとめ

ミニマムツーリズムにおける工夫は、宿泊施設単体が実施するものから、地域のグループで協力して行うもの、自治体が主導するものと様々な形で行われています。

 

GoToトラベルのような金銭的な割引以外にも、多くの工夫を凝らして旅行者を増やす取り組みの事例をご紹介できました。地域や施設の特性や強みを今一度整理して、ウィズコロナ・アフターコロナ時代にマッチする対策を打ち出すことが成功に繋がります。

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