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シティプロモーションとは? 地域活性の鍵を握る取り組みの内容と事例をご紹介

記事投稿者 みんなの観光協会<第3編集部>

所在地: 佐賀県基山町

みんなの観光協会の第3編集部です! 地方創生や観光系、地域活性系のニュースを定期的に配信します。

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地域活性化に向けた鍵を握る取り組みとして、シティプロモーションが注目を集めています。シティプロモーションは世界各国で行われていますが、人口減少を課題とする日本においては、地方創生の一手としても注目を集めています。

 

この記事では、シティプロモーションとは一体どのようなものなのか、これまでに行われたシティプロモーションの事例や失敗を防ぐためのポイントとあわせて紹介します。

 

 

シティプロモーションとは

シティプロモーションとは、地方自治体によって行われる、地域活性化に向けた活動や取り組みを総称した言葉です。簡単な言葉に言い換えるとすれば、自治体が主導する広報活動のようなものと考えれば良いでしょう。

 

これは世界各国で行われるものですが、日本国内においては、人口減少による地方を取り巻く環境の悪化に歯止めをかけるために行われることが多くなっています。シティプロモーションを端的に表すのであれば、地域の魅力を押し出し、人口流出を抑えて、反対に都市部から転入者を確保することを目指す取り組みといえるでしょう。

 

 

シティプロモーションを実施する目的

 

シティプロモーションは、人口減少を発端とする地方都市の過疎化や経済状況の悪化の改善を主な目的とします。地域の魅力度を高めるためにブランディングを実施し、街のイメージを向上させることを第一段階とする場合が多い点が特徴です。

 

街の魅力を高めるイベントを実施したり、施設を誘致したりすることができれば、その街で育った人々を繋ぎ止め、強い愛着を持ってもらいやすくなります。街の魅力を増やすことによって、特定の地域間で人の往来が活性化することも期待できるでしょう。

 

最終的には、街に魅力を感じる人の移住・定住を後押しすることが目的となります。人口が増加することでさらに地域が活性化され、施設の撤退やイベントの減少を避け、むしろ拡充を図ることも現実的な目標にできるのです。

 

 

シティプロモーションの事例をご紹介

 

ここからは、これまでに行われてきたシティプロモーションの事例をご紹介します。既に多くの地方自治体がシティプロモーションに取り組んでおり、明確な成功を収めるケースも増えてきました。代表的な事例をいくつかピッアップしてお伝えしましょう。

 

 

「野原一家のような暮らしができる街」をPRした埼玉県春日部市

埼玉県春日部市は、東京都内から電車で30分ほどの距離にあるベッドタウンです。同市は人口減少という課題を抱えており、これを防ぎ改善するための対策として「8つの魅力」をPRしてきましたが、街の長所に的を絞り切れておらず、このPRは失敗に終わっていました。

 

そこで心機一転の策として打ち出したのが「野原一家のような暮らしができる街」というシティプロモーションです。野原一家とは漫画「クレヨンしんちゃん」の主人公である野原家を指しており、劇中の野原一家が春日部市在住であることに目を付けたPR活動になります。

 

春日部市の特徴として「地価が安く東京へのアクセスが良い」というものがあります。これは都心で働く一般的な所得のサラリーマンが無理なく一戸建てを持ち、ペットと一緒に伸び伸びと暮らしやすい条件が揃っているといえるでしょう。

 

これを分かりやすい言葉に替えたシティプロモーションこそが「野原一家のような暮らし」という表現です。メッセージを一つにしぼり、端的でイメージしやすい形で伝えることで、春日部市の魅力を広く打ち出すことに成功した事例です。

 

 

「まちのトレジャーハンティング」で地域の良さを再発見した福島県国見町

街の魅力を再発見するためには、地元に長く住む人とは違った視点からの意見に耳を傾ける必要もあります。それを実践したのが福島県国見町であり、地域を挙げて専門家を招き「まちのトレジャーハンティング」というイベントを開催しました。

 

このイベントでは、招いた専門家に実際に町内を歩いてもらい、国見町に眠っている魅力の再発見を依頼しています。この結果として、地形を生かすスポーツイベントを開催できる可能性や、これまでにない事業形態の宿泊施設のアイデアなどを通じて、地元民では気付くことができなかった数々の魅力を再発見することに成功しました。

 

特筆すべきは、この報告会の様子をYouTubeに動画で投稿していることです。専門家による討論を見える化し、分かりやすい記録として残した上で、国見町外に住む人々に対しても街の魅力をアピールすることができているのです。

 

まさしく一挙両得といえるシティプロモーションの事例であり、国見町に注目する町外・県外の人々も増えています。既存の住民は、地域の強みとして押し出せる特徴を明確にしたことにより、新たな気付きやビジネスチャンスを得ることに成功しました。

 

 

「出世の街」を印象付け、企業誘致も目指す静岡県浜松市

個人単位のみならず、企業誘致を視野に入れたシティプロモーションを行っている事例が静岡県浜松市です。浜松市は「出世の街」として静かに注目されていましたが、その特徴を強く押し出したシティプロモーションの活用に移行しました。

 

浜松市内のシンボルでもある浜松城は、後に天下統一を果たす徳川家康が45歳までの17年間を過ごした城で、「出世城」という愛称で親しまれています。さらに市内には本田技研、ヤマハ、河合楽器のように、浜松から世界に羽ばたいた企業が多いことでも有名です。

 

こういった歴史的な特徴を生かし、浜松市では「住むと出世を見込める街」としてシティプロモーションを実行することになりました。個人単位だけでなく、企業誘致の一環としても、野心を持って成長を志す人材の確保を目指しています。

 

その一環として「出世大名 家康くん」がマスコットキャラクターとして誕生しました。市内では「浜松出世飯」という縁起物のグルメを提供する流れも発生しており、官民が一体となったシティプロモーションを実施している事例です。

 

 

シティプロモーションで失敗しないための注意点

 

シティプロモーションは、地域の特性や特徴、財産を生かすことで効果を発揮します。これまでに3例の注目すべき成功事例をご紹介しましたが、これはいずれも地域独自の魅力や長所に目を付け、活用した結果として生まれた成功です。

 

これからシティプロモーションを開始するという自治体や団体は、これらの先例を真似するだけでは成功を勝ち取ることが困難です。先例に学ぶことは重要ですが、あくまでも自分自身の特性を見つめ直して、やり方や立ち位置を決めることがポイントになります。

 

また、シティプロモーションの先行事例として注目される地域には、各地域の政治家やメディアが頻繁に訪れて研究・取材活動を行っています。しかしこのような先行事例の中には、むしろ人口減少が進む失敗例が潜むこともあるのです。

 

先例を参考にする際は、「革新的な取り組みを行っている先進的な都市」というだけで、特定の自治体に注目すると非常に危険です。大切なのは結果なのですから、「何をしたのか」ではなく、「どのような結果が生まれたのか」により深く注目しましょう。

 

 

まとめ

シティプロモーションとは、地方自治体が主導して行われる地域の広報活動のようなものです。地域の魅力を増やし、人口流出を防ぎながら、反対に移住者を獲得して好循環を導こうとする取り組みになります。

 

この記事では、地域の特性を生かしたシティプロモーションを実施する事例を3つご紹介しました。あくまでもこれらの事例を参考にしながら、それぞれの地域が持つ特性を生かせるシティプロモーションを実行することが大切です。

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みんなの観光協会の第3編集部です! 地方創生や観光系、地域活性系のニュースを定期的に配信します。

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