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アニメを使った町おこしは可能? 成功のためのポイントや失敗しやすいケースを紹介

記事投稿者 みんなの観光協会<第3編集部>

所在地: 佐賀県基山町

みんなの観光協会の第3編集部です! 地方創生や観光系、地域活性系のニュースを定期的に配信します。

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日本が世界に誇る文化に「アニメ」があります。人気アニメやマンガに登場する地域やお店は突如として人気が沸騰するケースも目立ち、こうした場所を観光することは「聖地巡礼」と呼ばれ、地方創成の有効策として生かされることが増えました。

 

このような、アニメを利用した町おこしを成功に導くことは可能なのでしょうか。アニメの活用が失敗に終わるケースも見受けられるため、成功のためにはポイントを押さえることも必要です。実際の事例も交えながら詳しくご紹介します。

 

実在する都市や町を舞台に採用するアニメは増えている

 

従来のアニメは、架空の都市を舞台としながらストーリーを展開させていくパターンが主流でした。しかし現在はその流れが大きく変わり、実在する都市や町を採用するアニメが増加しています。よりリアルで、身近に感じられる手法を用いることが多くなっているのです。

 

例えば『弱虫ペダル』は神奈川県箱根町が、『らき☆すた』は埼玉県久喜市が舞台になっています。爆発的なヒット作となった映画『君の名は。』では飛騨古川駅が登場しており、『スラムダンク』に登場する鎌倉高校前踏切には海外からの観光客の姿も目立ちます。

 

このようにアニメ作品の登場する場所のことは、作品のファンから「聖地」と呼ばれます。いくつもの聖地を巡る旅のことは「聖地巡礼」と呼ばれており、新しい形の観光資源の1つとして、地方自治体からの注目度が高まりつつあります。

 

 

アニメによる町おこしを成功させるためのポイント

 

アニメを活用した町おこしを成功させるポイントは、実施するイベントそのものへの興味を持ってもらえるように企画することです。例えば「主人公が訪れた場所で写真を撮る」という目的は単発で終了しますが、祭事や名物には持続性があります。

 

持続性のあるイベントを体感してもらい、気に入ってもらうことができれば、継続した集客性に期待することができます。一瞬のブームで終わらせるのではなく、地域に根付く伝統として残せるイベントを作ることが重要です。

 

そのためには、自治体としてアニメへの理解度を深めることも大切なポイントになります。人気があるからという理由だけで闇雲にコラボやイベントを企画するのではなく、地域性にマッチするかどうか、持続できるイベントを作れるかどうかにも着目しましょう。

 

失敗例から課題を見つけることも重要

アニメによる経済効果は非常に大きいため、各自治体が町おこしの一環としてアニメを活用できないかと頭を悩ませています。ブームに乗るような形で企画を立てる自治体も増えていますが、残念ながら失敗例が多いことも事実です。

 

失敗の理由として特に多いのが、訪れるファンを地域全体で上手く受け入れられないというものです。アニメ好きと聞くだけで「オタク」というネガティブなイメージを抱く住民も多く、自治体との協力体制を築けないことが、しばしば失敗の原因になっています。

 

また、アニメの作風やシチュエーションとは無関係な企画で集客を試みると、反対にアニメファンから敬遠されるリスクがあります。ファンが訪れることによって町が確保できる利益ばかりを優先すると、その狙いを察知されて町おこしを成功させられません。

 

企画を立てる際には、作品と町との具体的な関わりについて整理する必要があります。こじつけのような理由でアニメを利用することは避けましょう。その点を意識して作品選びを行うだけでも、ファンからの好印象を抱かれやすくなります。

 

アニメを活用した町おこしの成功例

 

アニメによる町おこしを実現させるためには、地域住民が一体となり観光客を歓迎することや、作品との関りが深い企画の立案が必須です。ここからは、これらのポイントを守って町おくしを成功させた自治体の事例を、詳しく解説します。

 

『花咲くいろは』の成功例

2011年にアニメ作品として放送された『花咲くいろは』は、主人公がとある温泉に身を寄せて働き、そこで得た出会いや別れを描いた作品です。作中で舞台となる「」は、石川県金沢市の「湯湧温泉」がモチーフとして使用されています。

 

湯湧温泉では、地元観光協会がリードするといった形で花咲くいろはとのコラボキャンペーンを実施しました。なんと地元で根付いているイベントを利用するのではなく、アニメ作品の登場する架空の祭を実際に再現することにしたのです。

 

この試みは見事にヒットし、作品のファンが大挙して湯涌温泉を訪れるようになりました。現在は、祭の開催期間中は宿泊施設の予約がいっぱいになるほどの人気です。祭は継続して行われるため、翌年度の予約を入れて帰る熱心なファンも多いといいます。

 

また、祭の開催期間中以外には、アニメとのコラボグッズを作成し、湯涌温泉の対象施設に宿泊した人に向けてプレゼントするというキャンペーンも実施しています。これにより、オフシーズンの観光客増加という形で町おこしを実現させていることも特徴的です。

 

 

『らき☆すた』の成功例

2007年に放送が開始された『らき☆すた』は、女子高校生の日常を描く作品として人気です。作品の舞台となった埼玉県久喜市にある鷲宮神社には、放送が開始されてすぐにファンが集まるようになり、これを地元が歓迎したことで蜜月関係が始まりました。

 

『らき☆すた』ファンと地元企業がタッグを組む形で神輿が作られたほか、久喜市商工会は『らき☆すた』に登場するキャラクターを模したゆるキャラを制作するなど、理想的な関係性を築く成功例です。放送開始から13年が経過した現在も、多くのファンが現地を訪れています。

 

地元企業だけではなく、久喜市としてもキャラクターを描いたマンホールを市内の4箇所に設置するなど工夫を凝らしています。『らき☆すた』による久喜市への経済効果は22億円とも言われ、最も大きな成功事例の1つとして紹介することができます。

 

 

『ガールズ&パンツァー』の成功例

2012年に放送が開始された『ガールズ&パンツァー』は、女子高校生が戦車を操る競技に取り組むというテーマの作品で、茨城県の大洗町が舞台となりました。制作にあたっては地域が全面的な協力を行い、町や施設、そして交通機関が忠実に再現されています。

 

大洗町がファンをもてなすために行っているのは、ポップやパネルの設置など、決して難しくはない比較的かんたんなものばかりです。しかし、これが作品のファンと地元住民を結び付ける要素となり、繰り返し聖地巡礼を続けるファンの姿も見られます。

 

『ガルパン』による町おこしが成功した理由は、地元住民が積極的にアニメファンを受け入れたことです。ポップやパネルの前で立ち止まる人に対して声かけを行い、交流を図ることにより、たくさんのファンが大洗町に対して親しみを覚えるようになったのです。

 

町おこしにあたっては、大洗町が住民に対して説明会を開き、ファンとの接し方についてレクチャーを行っています。ファンを受け入れる地元の姿勢がいかに大切であるかを示す好例といえるでしょう。

 

 

まとめ

実在する地域を舞台とするアニメ作品は多く、これを生かした町おこしに成功している自治体が増えています。特に『花咲くいろは』『らき☆すた』『ガールズ&パンツァー』の3作品は、それぞれ違った形の成功例として参考にすべき事例です。

 

アニメによる町おこしを成功させるためには、作品のファンを地元の住民が歓迎する構図を作ることが最も大切です。繰り返し地域を訪れてもらうために、持続可能なイベントを企画することもポイントになります。

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みんなの観光協会の第3編集部です! 地方創生や観光系、地域活性系のニュースを定期的に配信します。

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