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コト消費とは?意味やモノ消費との違い、広まった理由を解説

記事投稿者 みんなの観光協会<第3編集部>

所在地: 佐賀県基山町

みんなの観光協会の第3編集部です! 地方創生や観光系、地域活性系のニュースを定期的に配信します。

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インバウンド市場における消費者の動向は、近年「モノ消費」から「コト消費」へと移り変わっています。

注目が集まっている「コト消費」とは、これまで主流だった「モノ消費」と比べてどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「コト消費」の概要や世の中に広まった理由、「モノ消費」との違いについて解説します。

 

 

コト消費とは?

コト消費とは、個別のサービスや製品の購入ではなく、たとえば「まち歩き」「外湯巡り」などのように一連の体験における消費活動のことを指します。

コト消費に対する関心の高まりは訪日外国人観光客に限りません。

イベントやレジャーをはじめとした体験に、大きな価値を見出す日本人の方も徐々に増えてきています。

 

市場のニーズが「モノ」から「コト」へと変化している

「モノ消費」とは読んで字の如く、形ある商品に対する消費活動という意味です。

家電や車、衣服などをはじめ、特にインバウンド市場においては中国人観光客による「爆買い」が記憶に新しいところではないでしょうか。

 

「モノ消費」の場合、自分のステータスを高めてくれるようなものを購入することで満足感を得ます。

そこで一定の満足感を得ると、ハード面からソフト面、いわゆる「体験」へと興味が移っていくようになります。

 

「コト消費」では体験そのものだけではなく、レジャーやグルメ、趣味などの体験をSNSに投稿することで、知人などから反響を得ることも可能です。

承認欲求も満たされるため、さらなる満足感につながっていくことになるでしょう。

 

 

コト消費の種類

このように、今やインバウンド需要を語るうえで欠かせない「コト消費」ですが、より細分化すると以下の7項目に分けることができます。

 

純粋体験型コト消費

観光業界のプランに代表されるような、レジャーなどのアクティビティや宿泊プラン、イベントといった体験消費そのものが商品になっているものを指します。

「コト消費」という言葉は、基本的にこの意味合いとして使われる場合が多いです。

 

体験消費をきっかけとして、その場でしか手に入れられないようなものを販売することで「モノ消費」にもつなげるような事例も見られます。

 

イベント型コト消費

商店街やデパートなどの商業施設で開催する、集客を目的としたイベントのことを指します。

イベントへの参加は無料であることが多く、イベント自体よりも、集客後のモノ消費を期待して実施されます。

 

アトラクション施設型コト消費

ショッピングモールなどの大型商業施設に映画館やアスレチック、美術館といったアトラクション施設を導入することにより、集客力のアップを図るものです。

しかし、膨大な投資額が必要になり、資金繰りに困るケースも少なくありません。

 

時間滞在型コト消費

こちらも主に商業施設において、居心地の良い場所を提供することで長時間の滞在を促し、モノ消費へとつなげることを目的としたコト消費です。

イベントやアトラクション施設以外にも、滞在のしやすさに特化したカフェや書店を作ることによって、時間滞在型のコト消費を促す取り組みも見られます。

 

コミュニティ型コト消費

前述の時間滞在型コト消費をさらに発展させたような形で、特定の趣味などの共通点を持つ人達でコミュニティを形成して、モノ消費へとつなげようというスタイルを指します。

常連客が付きやすい傾向にある中・小規模のお店に向いているタイプといえるでしょう。

 

ライフスタイル型コト消費

有名企業がブランディングしたライフスタイル全般を提供することで、特定の商品の購入を促すという消費スタイルです。

代表的なものに、アップルストアやイケア、無印良品などが挙げられます。

 

買い物ワクワク型コト消費

買い物という行為そのものに興味を持ってもらえるような店舗設計や仕掛けを提供し、人々の消費行動を促す消費スタイルです。

近年では、カルディコーヒーファームや北野エースなどの特化型スーパーにもこのような要素が見受けられます。

 

(参考文献:「コト消費」の嘘/川上徹也 著/角川新書)

 

 

コト消費にはどんな例がある?

ここまで、「コト消費」に関する種別やさまざまな角度からの取り組みに触れてきました。

それでは実際に、どのような事例があるのでしょうか。

ここからは「コト消費」の具体的なイベントについて解説していきます。

 

もの作り体験

最初に紹介するのは、「もの作り体験」によるコト消費です。

日本が誇る伝統工芸や町工場といったいわゆる「職人技」はまさにここでしか体験できない経験であり、訪日観光客からも高い関心を集めています。

 

海外に向けたプロモーションの場である観光イベント「ツーリズムEXPOジャパン」では、雛人形の生地を使った小物の制作体験会や「沈金」と呼ばれる漆器の装飾など、さまざまなもの作り体験が来場者から注目されました。

 

着物体験

日本の代表的な文化である「着物」を体験できるサービスも、外国人旅行客に人気です。

近年は外国人からの「着物体験」に対する問い合わせが増えており、これに対応する形で旅行会社では「着付け」や「着物レンタル」の窓口を設置するなど、「着物体験サービス」を導入する動きは着物関連の業界以外でも広まっています。

 

着物体験は、旅館・ホテルなどの宿泊業界や飲食店、観光施設など、幅広い業界との相性が良いことも人気を後押ししています。

着物を着て観光スポットを散策するなど、非日常を演出する役割としても一役買っているのです。

 

映像を使ったエンターテイメント

最新のテクノロジーによるコト消費も注目を浴びています。

VR(仮想現実)を活用した「体験型観光の疑似体験」、いわゆる「VRトラベル」を実施しているオリックスレンタカーは、VR技術により観光地でのコト消費を現実に近い形で提供しています。

お客様の旅の時間がより充実したものとなるよう、日々改善を重ねており、利用できるエリアも徐々に拡大していくようです。

 

自然・伝統文化を感じられるツアー

日本特有の豊かな自然や独特な文化も、訪日客にとっては価値のあるコンテンツとなっています。

観光庁による2019年版の観光白書では、自然体験ツアーや農山漁村体験の分野で愛媛県が全国首位となりました。

美しい瀬戸内の島々などに代表される自然環境の魅力が要因の1つといわれています。

 

観光客が自然体験をした場合の1人当たりの支出額は約20万3,000円で、体験しなかった観光客より5万円ほど高かったことがわかっています。

「コト消費」を伸ばすことで、観光地での消費行動の促進につながることが立証されたといえるでしょう。

 

 

コト消費が注目され、広まった理由

注目度の高い「コト消費」ですが、ここまで広まった背景にはどのような理由が考えられるのでしょうか。

 

国内での消費市場が成熟化した

日本国内では人口減少によって消費市場全体が縮小しています。

消費市場が成熟化することで必要な家具や家電などが人々の手に行き渡るようになり、モノに対する欲求が徐々に弱まっています。

その結果コト消費への期待は大きくなり、企業が注力するポイントも「モノ」から「コト」へと変化しているのです。

 

 

モノ消費はインターネットで概ね満足できるようになった

インターネットの発展も、モノ消費からコト消費への転換のきっかけになっています。

2019年に行われた「平成の消費観・消費行動に影響を与えたもの」に関するアンケート結果では、1位が携帯電話・スマートフォン、2位がインターネット通販、3位がパソコンという結果になりました。

いずれもネットに関するものであり、この調査結果はネットの発達が人々の消費行動に多大な影響を与えたということを示しています。

 

これによって、今まではその土地に行かなければ買うことができなかったモノも、家にいながら注文できるような時代になりました。

商品を買うために現地に赴くという行動は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

 

インバウンドは日本での「体験」を求めて訪日している

観光庁による2017年の調査では、訪日外国人旅行者のうち訪問回数2回以上のリピーターは6割以上を占めており、割合はほぼ横ばいであるものの、リピーター数は大きく増加していることがわかりました。

さらにその内訳を見ていくと、訪日回数が増えるほどに旅行支出額は増加する傾向にあり、加えて地方を訪れる割合が高くなっています。

 

滞在中の具体的な行動としては、リピーターほど「お酒を飲むこと」「温泉・入浴」などを好むようです。

増加傾向にあるリピーターほど、コト消費を目的として訪日する方が多いということがわかります。

 

新型コロナウイルス流行による価値観の変化

消費行動に変化をおよぼす要因の1つとして、新型コロナウイルスの流行が挙げられます。

連日報じられる感染の拡大状況や著名人の訃報などに触れ、「今しか見ることのできないこと、今しか感じられないことを体験しておきたい」といった、これまで意識することのなかった価値観を抱くようになった人も多いのではないでしょうか。

また、生活様式が変化する中で、外出の自粛やテレワークといった新たな生活スタイルも、消費動向の変化に拍車をかけていることが推察されます。

 

 

政府もコト消費のニーズ増加に対応している

このような流れを受けて、政府としてもコト消費の需要に対応するためにさまざまな施策を打ち出しています。

 

経済産業省による「コト消費空間づくり研究会」では、中心市街地や観光地域において「コト消費」を促進し、魅力的な消費空間を創出するために、地域が活用できる手法の検討がなされてきました。

研究会の報告によって、コト消費空間づくり導入のためには以下の3点が必要だということが判明しました。

 

①適切な権限と責任を持ったマネジメント組織

②網羅性、自立性、持続性を持った安定的な財源

③リーダーシップ、マーケティング能力などを持ったマネジメント人材

 

そのほかにも観光庁では、旅行動態の変化や旅行者のニーズの多様化などを踏まえ、インバウンド観光における新しい観光コンテンツの拡充や支援を行っています。

インバウンド客のニーズを正確に把握し、各国のニーズに対応した消費機会の拡大が期待できる新たな観光コンテンツを開拓・育成する「最先端観光コンテンツ インキュベーター事業」を実施しました。

 

最先端の観光コンテンツとして、「大型の船上・船周辺でさまざまなマリンアクティビティとエンターテイメントを満喫する」「日本ならではのアニメや歴史をテーマに、日本独自の施設や街並みの中で謎解きを楽しむ」といった、魅力的かつ具体的な提案がいくつもなされています。

 

 

今後は「トキ消費」「エモ消費」「イミ消費」にも注目が集まる?!

これまで紹介してきたように、消費動向は「モノ消費」から「コト消費」へと変化してきました。

今後はさらに「トキ消費」「エモ消費」「イミ消費」へと発展していくことが期待されています。

 

「トキ消費」とは、その時、その場でしか味わうことのできない盛り上がりを楽しむ消費です。

「非再現性」「参加性」「貢献性」の3要素がトキ消費の共通点として挙げられます。

ハロウィンのイベントや音楽フェス、ライブなど、世の中にはさまざまなトキ消費があり、すでに体験されている方も多いのではないでしょうか。

 

「エモ消費」の「エモ」とは「エモーショナル」の略で、感情的、情緒的な様子を表します。

これには、「論理的に説明することはできないが心が満たされる」といった、精神的な充足感を含んでいます。

自らの社会的な役割を再認識することで心を満たす、いわゆる「エモい」感情を求める消費活動といえるでしょう。

 

最後に「イミ消費」とは、たとえば「脱プラスチック」や「SDGs」といった、商品やサービスが持っている社会的な価値に共感して商品を購入する消費活動を指します。

自然環境や健康、動物愛護など、購買傾向は比較的多角化しています。

このような価値観は「ソーシャルグッド」とも呼ばれ、若い世代からは特に支持を得ているようです。

 

まとめ

今回は「コト消費」の概要や「モノ消費」との違い、そのほかの消費活動の特徴について解説しました。

「コト消費」の普及にはさまざまな要因があり、またインバウンド需要においては重要な役割を担っていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

 

現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、訪日外国人旅行者による国内消費にはあまり期待ができない状況が続いています。

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https://sb-ja.jp/global/

 

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