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インバウンド需要とは?恩恵を受けやすい業界、取り込む方法を解説します

記事投稿者 みんなの観光協会<第3編集部>

所在地: 佐賀県基山町

みんなの観光協会の第3編集部です! 地方創生や観光系、地域活性系のニュースを定期的に配信します。

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社会現象として記憶に新しい、中国人観光客による「爆買い」を筆頭に、外国人観光客による消費行動はいまや日本経済に大きな影響を与えています。

そこで今回はインバウンド需要について、業種ごとによる影響や、その需要を巧みに取り込むための具体策を解説していきましょう。

 

インバウンド需要とは?

インバウンド需要とは、「訪日外国人旅行客による消費行動」のことです。

自国から外国へ出かける旅行をアウトバウンド(Outbound)と呼ぶことに対して、外国人が自国へ訪れる旅行を指してインバウンド(Inbound)と表現します。

 

日本へのインバウンド需要は急激に増加している

訪日外国人旅行者数の増加に比例して、インバウンド需要も高まっています。

2013年にはじめて1,000万人の大台を突破した訪日外国人客数は、2018年に3,000万人を超え、2019年には過去最多となる約3,188万人を記録しました。

 

2019年の国別訪日外国人客数1位となった中国は、伸び率も前年比14.5%と高く、950万人以上の中国人観光客が日本を訪れました。

2位以下も韓国(約550万人)、台湾(約490万人)と、アジアの国々が名を連ねます。

これらの成果につながる要因は、政府による取り組みも大きく影響しています。

2016年には「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、ビザの戦略的緩和やLCCの就航促進をはじめとした、数多くの施策を打ち出しました。

 

 

インバウンド需要は季節や地域によっても変化する

それでは、外国人旅行者が日本を旅行する時期にはどのような傾向があるのでしょうか。

2019年の統計によると、訪日客がもっとも多いのは7月です。

夏休みのバカンス需要によって、約299万人が日本を訪れています。

ついで4月の約292万人、6月の約288万人です。

4月は主に桜の名所を目的とした花見の需要が考えられるでしょう。

 

 

インバウンド需要が注目される理由

日本では、人口減少による経済成長率の低下が懸念されています。

そのような状況のなか、訪日外国人による消費活動は国内での需要減少を補うためにも重要です。

とくに人口の減少傾向が著しい地方経済にとっては、インバウンド需要により関連産業の売り上げ増加や、雇用拡大にもつながることが期待されています。

 

 

インバウンド需要の影響を受けやすい業界

このように、インバウンド需要の増加は国内経済に数多くのメリットをおよぼします。

一方で、新型コロナウイルス感染症の影響はいまだ終わりがみえない状況です。

訪日観光客の激減により甚大な影響を被った業界も数多くあります。

そこで、業種ごとにその特質を考えてみましょう。

 

宿泊業

インバウンド需要の影響を良くも悪くも受けやすい業界としてまず挙げられるのは、やはり旅行客の行動と直結する宿泊業です。

この10年間、政府による観光立国政策のもと、ホテルへの不動産投資も大幅に増えてきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響による訪日客の減少にともない、宿泊者数は大幅に落ち込みました。

2020年2月の前年比70%減を皮切りに、3月は40%減、緊急事態宣言後の4月と5月は90%以上減と壊滅的です。

ホテル市場は完全に供給過多の状況が続いています。

 

観光業

宿泊業と同様に、観光業もインバウンド需要の影響が大きい業界といえるでしょう。

観光庁が取りまとめた観光消費額の調査結果によると、コロナ禍以前の2019年における旅行・観光に関する消費額のうち、インバウンドによる観光消費は約4兆8,000億円におよびます。

しかし、海外からの渡航が途絶えた2020年4月以降は、この数字がほぼ皆無に等しい状況です。

 

運輸業

運輸業、とりわけ航空業界では、インバウンド需要の増減が業績に直接つながります。

コロナ禍においては格安航空会社(LCC)であるエアアジア・ジャパンの経営破綻をはじめ、主要航空会社の業績は軒並み膨大な赤字を抱えることになりました。

 

小売業

小売業は、旅行における消費行動が影響をおよぼす業界です。

観光庁による訪日外国人消費動向調査において、2019年のインバウンド客による旅行消費額は、4兆8,135億円と推計されています。

この金額からも、重視すべき大きな規模だといえるでしょう。

その一方でコロナ禍の2020年は7,446億円という衝撃的な試算結果を示しました。

インバウンド需要の低下による悪影響が強く反映されています。

 

飲食業

訪日外国人観光客が日本に来る目的として、「日本食を食べること」がもっとも多くの割合を占めることをご存じでしょうか。

国外で急増している日本食レストランもその人気を後押ししており、飲食業においてインバウンド需要はもはや無視できないものになっています。

そのため、飲食業もコロナの影響は多大です。

観光客の減少や、緊急事態宣言による営業自粛などの要因が重なり、2020年度には飲食店事業者の倒産件数が715件を数え、過去3番目の高水準となりました。

 

メーカー

製造業とインバウンド需要との関連性は一見わかりづらく、見落としてしまいがちです。

しかし、観光客によるSNSでの旅行体験の拡散が海外の消費者の購買意欲につながり、製造業界を下支えするようなケースも存在しています。

個人の情報発信力が高まった現代において、海外展開につながる新たな動向として注目を集めています。

 

 

インバウンドが減っても影響を受けにくい業界

一方で、逆風下といえる状況においても健全な強さを維持している業界をいくつか紹介しましょう。

 

医療・福祉業

訪日外国人旅行客の増加にともない、医療機関における体制整備も求められるようになってきました。

しかしながら、外国人観光客のうち医療機関に行く必要性があるような怪我や、病気を患う方の割合は1.5%程度とされています。

したがって、医療機関に与える影響は軽微なものと考えられるでしょう。

 

情報通信業

情報通信業においては、外国人旅行者に対する受入環境の整備が急務とされてきました。

具体例として、無料Wi-Fi環境の整備や多言語翻訳システム、需要に合わせた観光情報の配信などが挙げられます。

これらはインバウンド需要の減少が直接影響しないばかりか、むしろアフターコロナを目掛けてさらなる体制整備が求められるでしょう。

 

EC事業

EC事業において、とくにインバウンド需要が激減するなかでも年々増加傾向にあるのが、「越境EC」です。

越境ECとは、国境を越えて行われるECサイトの取引を意味します。

日本製の商品は国外での取り扱いがないものも多く、そのうえ高品質であることも影響して高い支持を集めています。

 

 

インバウンド需要を取り込む方法

ここからは、インバウンド需要を取り込む具体的な方法に焦点をあてていきましょう。

インバウンド需要の回復に備えて、今のうちに外国人観光客のニーズを理解し、対策をとることが大切です。

 

多言語対応を促進する

中国語、韓国語やタイ語といった多言語への対応は、観光客の満足度に直結します。

コミュニケーションを図るためのツールとして、案内やメニュー表記の多言語化、翻訳アプリなどの導入を検討すべきでしょう。

 

Wi-Fi環境を整備する

訪日外国人旅行者にとって、無料公衆無線LANやSIMカード、モバイルルーターといった通信手段の整備はもはや必須といえます。

海外に比べると、日本はまだまだWi-Fi環境が整っておりません。

喫緊の課題として取り組むことで旅行客の不安を解消し、インバウンド需要の取り込みにつなげましょう。

 

さまざまな決済方法に対応する

訪日観光客からの需要として、近年はキャッシュレス決済が注目を集めています。

キャッシュレス決済への対応が遅れている事業者は、普段自国で利用している外国人にとって不便な印象を与えてしまうでしょう。

視点を変えると、決済方法の多様化は集客において有効なアピールポイントになるはずです。

 

インターネットやSNSで情報発信をする

気軽に海外へ渡航できない現状だからこそ、将来的なインバウンド需要につながるPRが大切です。

国外に向けてSNSやWebサイトを通じて観光地の魅力を発信し続けることで、「いつか行ってみたい」と思わせる魅力的な観光地を目指しましょう。

 

コト消費への対応をする

爆買いに代表されるような「モノ消費」から、近年は旅行先での体験、いわゆる「コト消費」へと旅行者の関心がうつっています。

自然体験からサブカルチャーにいたるまで、日本文化の体験に対する需要は高まっています。

体験型ツアーをはじめとした体験型観光コンテンツの提案が、よりいっそう求められるでしょう。

 

 

インバウンド需要は今後も拡大する?

観光業界に多大な影響をおよぼした新型コロナウイルス感染症は、いまだ収束を見込めません。

需要の回復には一定の時間がかかると思われます。

しかしながら、ワーケーションの促進など新たな誘客方法が提案されはじめ、環境の変化に合わせて今までになかったスタイルが広まっています。

このような創意工夫により、インバウンド需要は徐々に復活することでしょう

 

 

まとめ

近年の地域振興においては、観光客を指す「交流人口」以外にも、さまざまな形で地域と持続的に関わる「関係人口」が注目を集めています。

そしてそのなかでも、日本国内での関わりだけに留まらず、訪日外国人による地域への関心の向上に取り組んでいる自治体もあらわれています。

 

このような新しい取り組みをはじめとして、インバウンド需要拡大への期待はますます高まってきました。

より大きな成果につなげるためにも、アフターコロナの時代に向け、早い段階から準備を進めておくことが大切になるでしょう。

 

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